土方美雄の日々これ・・・ -793ページ目

読書

連休前後以降に、こんな本を読みました。

ル・クレジオ『歌の祭り』(岩波書店、2005年)

メキシコ先住民の神話や伝承の翻訳でも知られるフランスの作家のエッセー集。原著は1997年に刊行されている。主に先住民文化に関するエッセーが16本収録されている。

関雄二・青山和夫『岩波アメリカ大陸古代文明事典』(岩波書店、2005年)

共に気鋭の考古学者による、メソアメリカとアンデスの古代文明に関する本邦初の事典で、6600円と高額な本ながら、信頼のおける内容と豊富なカラー写真で、この分野に関心のある方には絶対のお薦め。事典ながらほぼ全頁を読んでしまいました。

森博嗣『θは遊んでくれたよ』(講談社ノベルス、2005年)

ご存じ人気絶頂の森ミステリィーの最新刊。知的でありながら、あくまでも読みやすい軽い文体。入り組んではいるが、どこか生活感がなく、生臭さとは無縁の登場人物の人間関係。そうした点が、多くの若い愛読者の心を掴んでいるのだろう。それに結構多作なのに、どの作品も一定のレベルを維持しているものすごい。二階堂黎人の『希覯人の不思議』も読みましたが、すでに言及しましたので・・。

西原理恵子『毎日かあさん2 お入学編』(毎日新聞社、2005年)

人気漫画家の自伝的子育てエッセー風漫画。著者サイン入り本をゲット。ちなみに、元夫の鴨志田穣の『日本はじっこ自滅旅』(講談社、2005年)と合わせて読むと、しみじみ感がさらに増します。

桑野淳一『タイの古寺を歩く』(連合出版、2005年)

拙著『アンコールへの長い道』『北のベトナム、南のチャンパ』で訪れたタイのクメール遺跡にも言及されていて、大変、興味深く読む。それ以外の遺跡も私の訪問したところが多く含まれていて、大いに刺激を受ける。改めて未刊のラオス・タイ・ビルマの遺跡紀行を、何としても完成させたいと思う。 


山崎ハコのライブ

今日は夕方から江古田のライブハウス「マーキー」で、シンガーソングライターである山崎ハコの恒例のバースディライブ。彼女が16歳でデビューしてから、もうすぐ30年。その間、ある理由でまったく動けなかった5年ほどを除き、ずっと「追っかけ」を続けてきた。1999年に出した「アンコールへの長い道」の著者プロフィールにも、「旅と映画と山崎ハコが趣味」と書いた。

「追っかけ」とはいっても、参加したのはせいぜい、東京近郊でのライブやコンサートだけなので、地方公演にまで行っている本物の「追っかけ」からすれば、俺たちと一緒にするなよと、怒られるかもしれない。

せいぜい70席ほどのライブ会場に100人以上のファンが詰めかけたので、私が会場に着いた時点で、すでに立ち見の客で通路にも人が入り、立錐の余地もない状態。あちこち移動して、ようやく、最後列に立ち位置を確保。それから約3時間、前後左右を人で囲まれ、それこそ体を動かすことも出来ず、トイレにも行けない状態で、ずっと立ちっぱなし。疲労困憊、よれよれになって帰宅した。もちろん、ライブは最高。レコード大賞の企画賞も取り、20枚以上のアルバムを出した彼女のような優れた歌手が、しかし「ほとんど過去の人」扱いされているのが、日本の音楽界の現状だ。これは悲しい。

次のライブは6月25日(土)・26日(日)の「新宿ゴールデン街劇場」での2ディズ・ライブ。ファンのために用意されたたった15枚のチケットを、会場の最後列で立ち見していたおかげで、何とかゲット。まだまだ、「追っかけ」を続けます。

タイ製怪獣映画

今日は一日中、業界紙の仕事。午前中は次々号の特集の取材のアポ取りでつぶれ、午後からはさる組合の総会を取材。

疲れたのでどこにも寄らず家に帰って、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神の乗り物とされる怪鳥が、現代のタイの地下鉄の工事現場で蘇るという筋書きの、「ガルーダ」というタイ製怪獣映画のDVDを観る。モロB級映画だが、そこそこの水準。低予算にしては、特撮も頑張っている。「パリスティク」のカオスのように、ハリウッドでメガホンをとる監督も現れている。

明日は私が20年以上「追っかけ」をやっている、山崎ハコのバースディライブ。楽しみだ。

試写を観る

今日は業界紙の出張校正日なので、上野にある印刷所へ行き、紙面の校正作業。とはいっても、昔のように手書きの原稿を入稿するわけではなく、テキストで入稿するので、もっぱら紙面がキチンと割り付けられているか、見出しや地紋、写真等は指示通りかを確認するのが主。むしろ、一番重要なのは広告原稿の確認だ。業界紙の主な収入源は広告なので、これを間違えてしまったら、どうにもならない。とはいうものの、こちらもデータの入ったMOデスクでの入稿が最近は主で、間違えようがない。手書き原稿を職人が活字を拾って組んでいた時代とは雲泥の差で、楽だ。

午後2時過ぎに校了。地下鉄を乗り継いで、急いで築地にあるソニーピクチャーズの試写室に向かう。10数年前に第1作がつくられたトム・ベリンジャー主演の「山猫は眠らない3」の試写を観る。米軍のスナイパーを主人公にした戦争アクション映画だが、主演のトム・ベリンジャーはもう50代後半の年齢。今回の舞台はベトナムだが、町中に「セブンイレブン」があったり、黄色い衣をつけた坊さんがあるいていたりと、どう見てもタイで撮ったことがありあり。看板等は目立つところはベトナム語のものを掲げてあったが、遠目にはタイ文字の看板もありました。それからホーチミンという設定なのに、出てくるベトナム人の多くが三角錐の菅笠をかぶっておりました。最近、よっぽど地方に行かないと、菅笠をかぶった人にはお目にかからないんですけど・・・いろいろ、茶々をいれましたが、ドラマとしてはよく出来ていました。ハイ。

二股

今日(とはいっても、すでにもう昨日だが)は業界紙の仕事と、明日(といっても、もう今日だが)締め切りの別の原稿書きとが重なり、大忙しの一日だった。業界紙の方の取材の合間に原稿を書くため、B5サイズのパソコンを持って歩き、喫茶店などで断続的に書き続け、無事、夕刻、メール添付で送付。同時に、業界紙の方の仕事もすべてクリアした。ああ、疲れた。

仕事を終えてから有楽町のスバル座で、黒人の吸血鬼ハンターの活躍するアメコミの実写版B級映画『ブレイド3』を観て、銀座のベトナム料理店で遅めの夕食。『ブライド3』には、『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴッチに激似の女性戦士まで登場、さらにドラキュラの実態がエイリアンもどきだったりとか、まさに何でもありの世界で、結構、気晴らしにはなる。

とりあえず終了、さて今度は・・

新紀元社から出す本のイラスト用参考資料をまとめて、昼休みに担当者に手渡し。これ以降はイラストレーターの仕事になる。もちろん、ゲラ刷りの校正等、今後もやることは結構あるが、とりあえずひとつの区切りがついた感じ。

で、今日は、昼休みに資料を高田馬場に届けた以外は、終日、オフィスで生活費を稼ぐための業界紙の仕事。タブロイド版2頁分の原稿を速攻で書き、割り付けて入稿。12日の降版日までにあと1頁分つくる必要があるが、まだ2日あるし、まぁ、何とかなるだろう。

夕方、品川プリンスで『交渉人真下正義』を観る。私は所詮は国家権力讃美のこの手の映画は基本的に好きではないが、娯楽映画としては完璧に近い出来。休日でもないのに、劇場は若い人で一杯だった。

ハイド・アンド・シークを観る(実は2度め)

友人が観たいと行ったので、ハリウッド製ホラー『ハイド・アンド・シーク』を一緒に観る。実はこれが二回目。ハリウッドきっての名優ロバート・デ・ニーロと、文字通り互角に渡り合える実力を持ったダコタ・ファニングちゃんの圧倒的な演技力には脱帽するしかないが、肝心の映画の方は途中で筋書きがだいたい読めてしまう。確か、ジョニー・ディプ主演の映画にも、似たような設定の作品が最近ありましたしね。で、残念ながら「驚愕のラスト15分」とはいかなかったが、まぁ、合格点はつけられる作品。

ダコタ・ファニングちゃんはスピルバーグの新作『宇宙戦争』にも出る。実はこの話、以前、ティム・バートンも同じ原作で映画をつくっているんだけど、ぜんぜ~ん違うテイストの映画になるんだろうな。

イラスト用資料探し

今日は終日、「マヤ・アステカの伝承と神々」のための、イラスト用資料探し。この本は同社の「Truth In Fantasy」シリーズの一冊で、豊富なイラストがウリなので、イラストレーターに本文を読んで絵を書いていただかねばならない。つまり、そのための資料が必要なのだ。山積みになった資料から必要なものにふせんをつけて、近くのコンビニに行ってコピー。戻ってきて、あっこれも必要かと、また、コンビニへ走る。結局、もう夜になってしまって、今日は他に何も出来ず。

エジプト展を見て、「オレ」で会食

池袋の古代オリエント博物館で、古代エジプト展を見る。古代エジプト展はすでに何度も開催されているが、いずれもカイロ博物館や大英博物館等々、海外の博物館の所蔵品を中心にしたもの。今回の古代エジプト展はオリエント博物館を始め、松岡美術館や成羽町美術館、遠山記念館等々、国内の美術館の所蔵品に加えて、中近東文化センターや個人所蔵の美術品等を集めた展覧会で、いずれも各美術館の目玉ともいえる作品ばかり。こんな充実した展示会は二度と出来ないのではないか。

夕方からは新紀元社の編集者と、中に入っていただいている方を交えての、『マヤ・ステテカの伝承と神々』の今後の進行についての打ち合わせ。終了後、高田馬場にあるスペイン・バル「オレ」で会食。「オレ」はすずきさちさんの紹介で、中南米マガジンの忘年会等を何度かしたことのあるお店で、三人で赤ワインをボトルでとって、生ハムや魚介類のマリネ、スペイン風オムレツ等々おつまみをあれこれ選んでも、総額で5000円とちよっとという安さ。店長の小林さんより、次号の『中南米マガジン』はいつ出るのかと、聞かれる。もうすぐですと応えておきましたよ、金安さん。

アンコール遺跡アラカルト

昨日はいろいろあって忙しかったが、不特定多数の方が読まれる可能性のあるブログで書くようなことではないので、省略。
今日は私がほぼ毎年通い続けているカンボジアについて、少し書こう。私がカンボジアに通い続ける最大の理由は、ズバリ、同地にはアンコール遺跡群があるからで、その「偏愛」ぶりのほどは1999年に新評論から出した『アンコールへの長い道』という本にも書いたので、是非、そちらを読んでいただきたいが、高校時代に父の書棚に並んでいた『世界の文化史蹟』というタイトルの豪華本を片っ端から読んで、共に深い密林の中に眠る遺跡という神秘的なイメージから、カンボジアのアンコール遺跡と、中米のマヤなどメソアメリカの遺跡に、強く魅せられたことによるものだ。実際のアンコール遺跡群は、現在は深い密林の中に眠ってなどいないのだが、そうしたイメージがどうやら、未だに多くの人々の頭の中には浸透しているようである。
たとえば、皆さんの中にも行った人はいるだろうが、東京ディズニーランドにある「ジャングルクルーズ」というアトラクションには、アンコール遺跡群をイメージした古代遺跡が登場する。途中でボートが入る神秘の洞窟がそれで、洞窟の外にはアンコール遺跡の象徴のひとつ、アンコール・トムの巨大な観世音菩薩の四面像を模した石像が置かれているし、洞窟内にはアンコール様式の仏像が並んでいて、いかにも・・という雰囲気を醸し出している。アンジョリーナ・ジョリーの活躍する『トゥームレイダー』という映画(1作め)にも、アンコール遺跡は登場する。この映画は実際にカンボジアで撮影され、アンコール・ワットの外堀に、CGであり得ない水上マーケットを登場させもした。それから、タイトルを忘れてしまったが、二匹のトラが主人公の映画も、その舞台はカンボジアで、虎たちのすみかにもなっている朽ちた古代遺跡として、クバル・スピアン等実際のアンコール遺跡での撮影が行われている。
こうしたアトラクションや映画に登場するアンコール遺跡は、すべて密林に眠る神秘の古代遺跡という、私が高校時代に読んで、強く惹かれたのとまったく同じイメージで描かれているのが、大変、面白い。
では、実際のアンコール遺跡群は?その話はまた、いずれ別の機会に・・。